「次、ガンバレばイイじゃん、元気だして!!」





 あたしが励ますのも変な感じだよなぁ。



 敵に塩を送るって、こう言うこと?





「……真帆ちゃん」





 あらたまった声で彼が言う。





「な、なに?」



「元気になる代わりに、お願い一つ聞いてくれる?」





 真面目な表情

 だけど目線は

 ボートの底を見つめていた。



 なんだろう?





「簡単なことなら、……いいけど?」



「――…真帆ちゃんって、俺の名前呼ばないよね?」





 彼が、真っ直ぐにあたしを見上げた。





 ドキッ☆



 ば、バレてる……。