「……手、か」





 美里は

 そのまま何も言わず

 ガラスのオチョコの端をなめる。





 風鈴の音が

 やけに大きく辺りに響いて。





 サラサラと気持ちいい風が

 部屋に入ってきた。





「……」





 ホントは

 あたし



 会いたいのかな?





 一度も会ったことのない





 お父さんに…――