そう思うと体が動いて彼を追って行った
背の高い男は屋上に着くと柵の方で煙草
を吸い、私を見た。
「何のようだ。餓鬼が来るとこじゃねぇぞ」
「餓鬼じゃないわよ」
私は男を見た。
「名前は?」
男は溜息を着くと同時に煙草の煙を吐く。
「とっととどっか行け。俺はお前に構ってる暇なんかねぇんだよ」
男は私を見下す様に行った。
私は男を見つめる。
「死ぬ気?」
私の一言に驚きを隠せない様に一緒めを見開いたが鼻で笑う。
「そんなわけねぇだろ。ドラマの見過ぎじゃねぇのか」
いきなりの事なのに変な自信があった。
何も言わず男を見ていると男は私の目を見て溜息を着き、真顔になった。
一瞬怒ったのではないか、間違えたのではないかと今になって狼狽えたが、外面では見せない様に手を握り締めた。
男は煙草を地面に落とし、足で火を消し
、私の横を通り過ぎ男は吐き捨てる様に言う。

「付いてくんな。キモイ」
男はそう行って、階段を下りて行く。
私はあまりの棘のある冷たい男の声に、怯えひるんで震えた。
怖い。でも何故かほっとけなかった。
もし、私が追いかけなければこの人は死ぬかもしれない。
他人だ。ほっとけばいい。でも死にたい時、私は誰にでもいいから側にいて欲しかった。
あまりにも今の境遇と似た勘違いかもしれないがあの男をほっとくことが出来ない。
私は男を追いかけた。

この日から彼と私の鬼ごっこが始まる。


それでもそれでも