「遅れちゃってごめんね!」
「全然。
おれもいま来たところだし」
「ほんと? よかったー!」
鼻の頭を少し赤くして、えへへなんて笑うまひろちゃんは、
シックな黒のサロペットのうえにもこもこのアウター、足下はスニーカーという出で立ち。
かわいい。私服かわいいです。
……ですが、ちょっと足を出しすぎなんじゃないでしょうか。
「さ、寒くない?まひろちゃん」
「えー?
全然平気だよー……っくしゅん!」
マフラーもなにもしていないまひろちゃんは言ったそばからくしゃみをして、ちいさく震えた。
苦笑いして誤魔化そうとするまひろちゃんに、俺は自分のマフラーをといて、まひろちゃんの寒そうにさらけだされた首にまわした。
「あげる」

