やっと言葉を止めたまひろちゃんは長い袖の先で目元を隠すように拭って。 それから。 もう一度、ゆっくりと 「涼くんが、好きなんだよ……」 噛み締めるように、そう言った。 そのとき、予鈴が鳴り響いて。 「あっ……。 まひろちゃん!」 まひろちゃんは逃げるように駆け出した。 俺とは違う、校舎のほうへ。 俺は、情けなくその場に立ちすくむばかりで。 追いかけることもできなかった。