「そんなモテる人から言われたところで信用できないんですけど」
クーラーが効いた教室とはいえ、窓から射し込む夏の日差しが容赦無く照りつけるために窓際の席はとても暑い。
「モテないからね。てか俺と付き合うの?付き合わないの?答えを聞かせてよ」
なんでこの人はこんなに自信たっぷりなんだろう。
これはきっとモテる人特有の余裕というやつだろうか。
ああ、こんなにかっこいい人に告白されて幸せだなーなんて思ってる自分がいなくもないけど。
だけどだからといって山上くんと付き合うかとはまた別問題。というか別次元の話であって、あぁなんだか考えるのも面倒くさい。
「あ、千香!帰…ととと?お取り込み中でした?」
ポニーテールを揺らしながら教室に入ってきた友人の穂花(ほのか)は私と山上くんを見るとすぐに教室から出て行こうとした。
「あ、ほのか。いいよ!すぐ片を付けるから!」
「片を付けるって…なにそれー」
穂花は楽しそうに笑った。
私は山上くんのほうを向いてにっこり笑った。

