なんだかんだ言っても、しっかりとやってくれた山上くん。
「おお!山上くんのアドレスが入っている!ありがとう」
山上くんの方を見ると山上くんも嬉しそうに笑ってくれた。
「いいよ別に。あ、でもせっかくだしお礼もらっておくね」
私は一言もお礼をあげるなんて口にしていない。
ていうか、お礼される側から普通、お礼もらっておくね、なんて言う?
「お礼とは一体なんぞや?」
駅の前で立ち止まって長話も、というわけには行かないので、私たちは学校へと向かいながら話す。
「まぁそれは帰りに決めるとして。今日も一緒に帰ろうな」
彼がこちらを見ながら微笑んだかと思うとすぐに、私の手をさりげなく握った。
こんなことをされたら嫌でも意識せざるをえなくて。
私の鼓動は少しだけ早さを増した。

