「もう無理だよ。私じゃ幸せにできない...」

私は綺麗なオレンジ色の空に手を延ばす。
誰も手を差し延べてくれる人はいない。
私は手を延ばしたままコンクリートに寝転んだ。
私は必死に空を掴もうとした。届くわけない。
しばらくして諦める。

「なんで私はここにいるの?」
少しカスれた声で呟く。

アイツが好き....

死ぬほど大好き....

高いビルの屋上。

風が気持ち良い。

私は大きく深呼吸した。

空に近くなれたね。


「私よりきっといい人いる....
...さよなら...」

私は飴玉のような、綺麗な甘い恋がしたかった。

でもそんな恋...ないよ。

私の足がコンクリートから離れようとした時、静かにケータイの音楽がなった。

「...もしもし。」

「今なにしてる?」

涙さえこぼれない。そう思っていたのに私の頬をしょっぱい涙が伝った。

この声になぜかとても安心して。

「...ん?恋愛~!」

それだけ言うとすぐに電話を切った。


そして私は少し背伸びして、満足そうに微笑んでみせた。


   END.。