カサッ…



誰かの人影が、



   見えた気がしました。







気、だけど。







「なんにも言わないから。
 
 俺、後ろ向いてるから。
 思いっきり泣きな?
  
 
 ここにいてやるから。」






及川君は、そう言って。



一定の距離を保って。


 それ以上近づきませんでした。






その距離が、嬉しくて。



安心できました。