…夢を見た。



それはとても素敵な夢。



あいつにキスされる夢。






「ー…ゅ…ゆ…なゆ!」

なんだ、騒がしいなぁ…。
折角良い夢見てたのにぃ…。
娘の幸せをぶち壊す母親ってどうなんよ…。
つか…ねむ…。

「なーゆっ!」

ん?お母さんじゃない?
この声…まさか

「遙人!?」

「おはよ。寝坊とか、この俺を待たせるつもりだったのかよ。これは朝からお仕置きだな。」

…ちょっとされたいけどね!
あぁでも、言い返さなきゃ。

「この変態!何よお仕置きって!それに、寝てる女の子の部屋に無断で入ってくるとか無神経すぎ!」

よだれ垂らしてたらどうするの!
って、あぁ、枕に大きなシミが…。

「許可ならおばさんに取った…っていうかおばさんに起こすの頼まれたから来てやったんだよ。お前がだらしないからー。つかお前、よだれ垂らしすぎ…。」

あぁ朝からこいつの笑い顔見られるなんて、私、幸せ…。
ってそうじゃなくて!

「よ、よだれは仕方ないじゃない!とっ、兎に角私から離れて!着替えるから!」

そう言って私は布団から出る。
そうしてくれなきゃ私の心臓がもたなー…

「あのさ、知ってるなら別にいいけど、お前今下着姿俺に思いっきり晒してるよ。最近成長したよな~。」

…。
………。
………………。

「ぎゃあぁああぁあぁあ!!」

平和な朝の住宅街に、私の悲鳴が響き渡った。