ある放課後、あたしは同じ保健委員会の遥花(はるか)と柑奈(かんな)で、校庭で遊んでいた。


普段は心璃と遊ぶのだけど、心璃の飼育委員会はいつも早く終わるので先に帰ってしまったのだ。


「柑奈、あそこでサッカーしてるの翔君じゃない？」
遥花が校庭の中央付近を指差すと、柑奈はおもいっきり頬を赤らめた。


「柑奈、行ってくれば！」
「もぅ！おとちゃんまで！」


あぁ、ほんと柑奈ってわかりやすいよ。
柑奈が恋してるのはほとんどの女子が知ってるのに、今さらあたしも好きなんて言えっこないよね…(._.)


「ねえ、じゃあハルとおとちゃんも来てよ！」
「えぇーっ！柑奈ほんとに行くの⁈」
ハルが驚きに声を裏返した。


「だって…、学校だとなかなか近寄れないんだもん…。」
確かに、翔君の周りはいつも騒がしい女子の取り巻きでいっぱいだ。


あたしは柑奈のさみしそうな表情に、恋のライバルながらに同情してしまった。


「うん！行こっ！柑奈！ハルも！」
あたしは勢いよくブランコから飛び降りた。
「えぇー(´Д` )おとちゃーん？」


背中にハルのあきれ声を受けながら、あたしは柑奈と歩き始めた。