雅弘から、言葉をかける。 『約束通り海を見に行こう!連れて行くよ』 また電車にのり一駅乗り継ぐ。 電車のドアが開き、私の鼻に海の磯の匂いが届いた。 『海だぁ…』 耳に心地よいさざ波の音。 『手つないでもいい?』 雅弘からの、お誘いだった。 私は何も言わず握り返す。 少し大きめの手。男の骨ばった感触。久しぶりの手の暖かさ、その手の温もりはなんとも離しがたいものだった。