「ハイ?」
インターホンから聞こえるミィコ小宮の声にまたドクンドクン心臓が煩かったけど「隣の相楽です」と言った。
声、上擦ってなかったかな?
深呼吸をしたところでミィコは出てきた。
「由比子、どしたの?」
「ミ、ミィコ! あのね、これッ! サンマとビールのお礼です。マフラーもありがとうございました」
キョトンとして目を丸くした彼はにっこりと笑って「わざわざありがとう、由比子。でも、肝心のマフラーは?」と言った。
はぎゃッ! 忘れた! マフラー! 取りに戻る! まだクククっと笑っているミィコは口を抑えながら、私の腕を捕まえていたずらっぽく言う。
「マフラーは明日でもいいから、部屋入る? 由比子も俺を友達として認めてミィコと呼んでくれたことだし」
はッ! 私、大ボケかましすぎだ! マフラー忘れてしかも緊張して心の中でミィコ小宮なんて呼んでるもんだから、ついうっかり、『ミィコ』と呼んでしまった。



