にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「仕方ないから我が弁当のおかずとトレードしたげよう」

「ほ、本当?! あずちゃんが天使に見える」

「うるさい、バカ者」


 あずちゃんの赤茶色に塗られた漆塗りの弁当箱からは美しい卵焼きが並び、つぶらな瞳が眩しいエビさんが私を見てる。そしてとろりとしたタレがほどよく照りを与えてとても美味しそうな鯖の味噌煮。それに朝、揚げられたであろう半分に綺麗に切られたコロッケと唐揚げたち。


 それにあずちゃんのお弁当は何が素晴らしいってサラダよ、サラダ! 彼女はサラダを別のタッパに持ってきてドレッシングも別の容器に入れてくる。弁当でシーザーサラダ! 素晴らしい! 


 どれもキラキラして見える! ゴクリ、と生唾を飲み込み考える。いや、ゴクリの他にもジュルリという擬音も入っていたかもしれない。……どれにしよう!


 や、やっぱりサラダもらおうか。野菜不足だし。