「お買い上げありがとうございました。どうぞ、またのお越しを」
いつもの決まり文句で締めると、うふふ、と笑う小さくて可愛い彼女は支払いをしたあと、小さく会釈をして店を後にした。
ちょうど時計を見るとお昼を過ぎた1時。
「そろそろお昼にしよっか、由比子ちゃん」
「そだね、あずちゃん」
「そういえば、休憩室のテーブルにデカデカとしたおにぎり、4つも置いてあったけど全部、由比子ちゃんが食べるの?」
本当はお隣さんも食べるかな、とか考えて作ったものだけれども、結局渡せないまま、仕事場に持ってきてしまった。
「え? ああー……うん。引っ越したばかりでごはんのおかずがなかったんだよぅ」
だって冷蔵庫の中身は鮭のフレークと使いかけの海苔とマヨネーズなどの調味料しか入ってなかったんだもん。だから、おにぎりの中身は鮭とシーチキンマヨネーズ。でも、どっちもとってもおにぎりには美味な食材だ。新米のおにぎりなら4個食べれる! ……気がする。
「今日はお客さんあんまりいないし、一緒にご飯食べよっか。もし、お客さん来たらどうせ窓から見えるからすぐわかるし」
「そうだねぇ。今日はなんか疲れたわ」



