「これ、お願いします」
「いらっしゃいませ。こちら、贈り物でしょうか」
ああ、売れてしまうのね、私の手帳チャン。でも、ママは嬉しいわ、あなたが巣立ってくれて。自分で欲しいと思う品を自分で買うのもいいが、自分がいいと思った物が売れると、尚、嬉しい。
この手帳チャンを買ってくれる女の子。私よりも15cmは低いかと思われる栗色の髪の毛がふわふわで、そのふわふわが腰まであるこの女の子。クルクルふわふわの形容詞がよく似合うこの子は小さくて可愛くて私の腕の中にもスッポリと入ってしまいそうだ。
小さくて可愛らしい雰囲気はあるけれど歳はそうだなぁ。20代前半か。いつもにこやかに対応しながらも歳はいくつぐらいだろうか、とか、この商品は自分用か彼氏用だろうかなどと妄想してしまう。
「いえ、自宅用です」
「畏まりました。ただいま、お包みいたしますので店内をご覧になってお待ちください」
「はい」と彼女は可愛らしく返事をするとまたさっきのピアスのコーナーで同じピアスを再び耳にあてて微笑んでいる。



