にゃんこ男子は鉄壁を崩す



 少しでも気を抜くとまた床にミィコを転がしてしまいそうだ。ミィコをベッドにドサっと下ろして靴を脱がす。エレベーターからミィコの部屋の中までの距離ってそんなに大したことない。




 でも、こんなにも人を運ぶのが大変だとは! 私は息を切らしながら、キッチンへ向かう。勝手にグラスを取り出して水を注いだ。ゴクゴク、と喉が鳴るほどに気持ちよく水を喉に流し込む。



「プハァッ……フゥ……」

 よし、もうひと頑張りだ。とりあえず、コートやマフラーはとってあげたけど。病人だったら、パジャマなんかに着替えさせた方がいいけど。私、チキンなんで。オトコのパジャマ着替えさせる、とかできないし。



 なんか変なとこじっくり観察しちゃいそうだし。それは勘弁してよね。ミィコをなんとか布団に入れてミィコの額に手をあてるとやっぱり熱かった。このまま放っておいたら、人でなしだ。




 薬でも持ってきてやるか、とベッドから離れようとしたら。私のカバンの中でスマホが鳴ってた。