私はフラつくミィコの腕を自分の肩に回して歩き出した。男の人に肩貸しながら歩くことがあるなんて。背が高くて恋愛関係で良かった、と思うことなかったけど、あるもんだな、こういうことも。
ちっちゃい女の子だったら、こうはいくまい。いや、小さくて潰されそうになるから部屋とかだったら押し倒されていい雰囲気になるのか?! いやいや! ミィコは今風邪ひき中なのよ! 私みたいに肩を貸せる方が絶対いいはず!
とはいえ、男の身体。流石に背の高い私でも重いに決まってる。たったの数メートルでミィコの身体がとてつもなく重くなってきた。それに私、ブーツのヒールが高くて歩きづらいし!
アタタタタッ!
「おおおぅッ!」
ドサリ。
ありゃま。
ミィコを床に転がしてしまった。
起きないミィコ。まぁ、いいや。これで楽に鍵が開けられる。
「ミィコ、鍵ある? 中まで連れて行ってあげるよ」
「うう……」
鍵はポケットに入っているらしい。うつ伏せになりながらもポケットの位置を探していた。鍵さえもポケットから取り出せない様子のミィコに私はため息をついて彼のポケットをまさぐり、鍵を探し当てた。
玄関のドアを開け放してミィコを中へ運ぶ。勿論、私はブーツを脱いで。
ああああああ、ミィコの靴を脱がしてない。
おかげで玄関前のフローリングが雪で濡れてしまった。ああ、面倒臭い。チラ、と振り返ってその汚れを見たけど、それはまあ後で。今はミィコをなんとかしてやらんと。



