私は彼の横にしゃがみ込み、耳元で「起きれる?」と聞いた。再び、開けられる彼の瞼。なんとか立ち上がったけど手足に力が入らないらしくヨタヨタ、フラフラ。
とりあえず、エレベーターの中に入ったものの、ミィコは中で座り込んでまた目を閉じてしまった。仕方なくエレベーターのボタンを押して待っているけど、やっぱり放っておくことなんてできないよね。どうせ、隣なんだしついて行ってあげようか。
「ミィコ、立って。エレベーター着いたよ」
「んー……」
眉間に皺を寄せて手すりに掴まり、立とうとするけどまたふらついた。これって条件反射。別に下心なんてない! 私は咄嗟にミィコに抱きついて彼の身体を支えていた。
「由比子……扉、閉まる……」
「あッ……」
虚ろな目をしたミィコは私から離れても少しで扉が閉まるところで手で押さえた。
「由比子……どうぞ」
今にも倒れそうなのに、何でこういうことするかな。申し訳ない気持ちとドキドキが混同する。
「あ、ありがと……」
彼が扉を押さえているのでその腕の下を通った。熱い息がかかってチラリと彼の顔を見たら、災難にもミィコと目が合ってしまう。なんとなく気まずくて慌てて目を逸らしたら、またふらついてるし!



