エレベーターのボタンを押そうとして気づいた。

 いや、だって……


 既に私の部屋がある5階のボタンひとつだけがオレンジ色に光っていたから。『5』のボタンを押そうとして止まったけど慌てて引っ込めた。……同じ階なのか……どうか隣とかじゃありませんように。


 チーン、という音がして扉が開く。

 どうしよう。このまま知らんぷりして一度最上階まで行ってから降りようかな。だって、なんか気まずい。


 どうしようか迷っていたら不意に手首を掴まれた。


「お姉さん、ココでしょ。降りないと閉まっちゃうじゃん」