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 少しだけと思って立ち寄っただけなのにこの12月というお歳暮の時期だからなのか高級牛肉と松茸、といった食材を持たされ、俺の住んでいるマンションに帰ってきた。

 勿論、高級牛肉(すき焼き用)をもらったからには、それを最高に引き立てる食材も必要だ。


 えーと、春菊、しらたき、豆腐にしいたけ、えのき茸。こんなもんでいいか。この間、由比子には鍋をご馳走になったから、今度は俺がすき焼きをご馳走してやろう。

 チューのお詫びに。

 でも、アイツは鉄壁もいいとこピクリとも壁は動きやしない。ちょっとチューしたからってあんなに怒ることないし。


 エレベーターに乗り込み、扉が開くと思いもかけない人物がそこに立ってた。


「あ、れ……? 火伊さん、俺んちに用だった?」