4月5日ーーーー
『篠宮高等学校 入学式』
そんな文字がデカデカ書かれた学校の門目掛け私と幼馴染みでもある来栖春斗は走っていた。
「灯ーー、早くしろー」
道の途中でこちらを振り返った余裕綽々といった表情の春斗の顔を見て、怒りを覚えながら乱れる息を整えながら私は
「ま……ハァ、待ってよ春斗!もう少し…ハァ」
そう返すしか無かった。
「ま、何もやんないような灯にゃ、どうしよもなんないか」
う、運動なんて生まれてこのかた自分で望んでやったことなんて一度すら無いよ。
だからって…
言い方が腹立つのよ!!
追い付いた頃には足の辺りに飛び切りの蹴りをお見舞いした。
だが
「なにそれ?うちのマコのひっ掻き以下!もしかして蹴ったつもり?」
ちなみに、マコとは春斗の家の猫である。
つまり、猫以下。と言いたい訳であり…
「な、ね、猫以下!?!」
「それ以下ー」
そう言って春斗はケラケラ笑った。
「……遅刻するわよ」
冷静になった私が春斗にそう言うと春斗は慌てて走り出した。