そのバイトは、大学生活のリズムに慣れたころ、9月半ばからはじめた。

 自宅近所の個人経営となるフーズストアのレジ係だ。レジ係という名目だけれど、時間があれば商品陳列もするし、朝の10時からバイトに入れば、最初に店内掃除もする。
 肉や野菜も種類をそろえており、夕方4時ごろになると、近くの主婦が2台のレジに並ぶくらいに繁盛している。

 店長は、少々ケチなところがあるけれど、それは個人でストアを切り盛りしているから、仕方がないのだろう。従業員に対して、お給料は厳しいが、人当たりは優しい。

 ずっとレジの前に立っていると、最初のころは、かなり足腰が疲れたけれど。ようやく立ち仕事にも慣れ、わたしは周りを見渡す余裕を持ってきた。