3号室の扉を開ける前に一応服装と髪型を正す。

コンコン、
「失礼します。」

お決まりの挨拶。

客だと思われる女はもうバスローブ
1枚でベッドの上にちょこんと座っていた。
あー、1枚1枚脱がしてくのが
いいのになー。
内心少しがっかりとした。

大体、15くらいだろうか。
まだ未熟で幼いのに
頑張って大人に見せよう、
そんな感じがした。

この仕事は常連がすごく多いのだが、初めて見る顔だった。

日焼けなんか一度もしたことないように真っ白な肌。
綺麗なラインの二重の目。
すっと通った鼻筋。
ほんのり赤く柔かそうな唇。


彼女の顔は整っていた。

だがその綺麗な唇のはしには
うっすらと血の跡があった。



「俺の名前はハク。よろしくね」

彼女の隣に腰掛け、微笑みながら
言った。

「……ハク。よ、ろ、しくね…」

とても恥ずかしそうで、
今にも消えてなくなってしまいそうな、でもすごく綺麗な声だった。

「お嬢さん、お名前は?」

視線を斜め下にズラしたまま、
「みいな…」

彼女は言った。

「みいな、か。可愛い名前だね。
少しお話ししよっか?」

俺は必ず、客と軽い談話をする。
部屋に入っていきなりヤるなんて
気分上がらないし。
何より客の緊張をとかないと
セックスしたってつまらない。

…まぁ今まで最高だと思えたセックスなんてないんだけど。


彼女は17歳。
俺が思っていたより子供じゃなかった。
でも彼女の容姿からすると、
何も知らない、純粋無垢な、
親に大事に大事に育てられてきた感じしかしなかった。

口元の傷は謎だったのだが。

最初は緊張しかしていなかったみいなだが、話していくうちにだんだんと緊張も和らぎ、とても楽しそうに話している様子だった。

「んふふっ、ハクって面白いんだねっ」

首を傾け、手を口元に添えて彼女は言った。

……可愛い。

俺の物にしたい…


今までの客とは違う、
そんな感じがした。