「無理無理無理――っ!」



 叫びながら、恐怖のあまり体が震えだした。


 ユリアン以外の従者達は、そんな私を面白がり、ある人は呆れた顔で見ていた。



 後ろで私を支えていた彼が、私を見て哀れに思ったのか、ゆっくり腰に手を回し、私をしっかりと抱き締めた。




「絶対に落としたりしない。

 だから、安心して」



 耳元で響く彼の声に、スッと体の力が抜けていく―――…





「――よし。出発だ」




 彼の声とともに、蝶々は美しい羽を広げ、青い空へと飛び立った―――…