最低―――
あんな色ぼけ王子なんか、大っ嫌い!
私は、今にも零れそうな涙を堪え、森の中を進んだ。
「どこに行く」
キョロキョロ辺りを探す私を不審に思った兵士がついて来た。
私は少し離れた二人に気づかれないよう、小さな声で、
「さっきの蛇…竜を探してるの」
答えながら、辺りの茂みをかき分ける。
あんな奴になんか、絶対に捕まらないから。
「……わたくしも後ほど、その娘に聞きたいことがございます。
聖なる湖にもしもこの娘が入ったならば……我が神殿で捕らえねばなりません」
「審議の後、その時は、あの娘をこちらにお連れします」
私がこの場から離れていくのを、王子と姫は知らない。
少しずつ、二人の声が遠くなっていった。
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