* 竜の眠る国 *









 最低―――


 あんな色ぼけ王子なんか、大っ嫌い!



 私は、今にも零れそうな涙を堪え、森の中を進んだ。




「どこに行く」



 キョロキョロ辺りを探す私を不審に思った兵士がついて来た。

 私は少し離れた二人に気づかれないよう、小さな声で、


「さっきの蛇…竜を探してるの」


 答えながら、辺りの茂みをかき分ける。




 あんな奴になんか、絶対に捕まらないから。






「……わたくしも後ほど、その娘に聞きたいことがございます。

 聖なる湖にもしもこの娘が入ったならば……我が神殿で捕らえねばなりません」


「審議の後、その時は、あの娘をこちらにお連れします」






 私がこの場から離れていくのを、王子と姫は知らない。


 少しずつ、二人の声が遠くなっていった。