* 竜の眠る国 *





「……この者は?」




 足首まで伸びた黒髪と、漆黒の瞳。

 さっきまでのしおらしさはどこかへ行ったように、私を見下すその眼差しに、私はムッとした。




「この者はこの森に迷い込んだので、我々が保護しました」



 ……確かに。ザックリ言うと、そんな感じだけど。


 私のすぐ後ろからの声に、あからさまに女の子は眉を上げた。



「お黙り!
 ユリアン、そなたには聞いてない!

 ……シオン様、この者、いかがなさいますの?」



 王子に寄りかかるように見上げる姫を見て、私は何故か更にムカついた。


 ……どうしてだか、分からないけど。





「この者……もしや湖に入ったのでは?

 髪が濡れている」



 その冷たい声色に、私は咄嗟に王子を見た。