* 竜の眠る国 *





“ユウナ……”



 困ったようなガルーダの声に、私は涙を拭った。



「困らせてごめんなさい……。私は大丈夫。

 それより、この人の傷を癒せる?

 今は大丈夫そうだけど、あの湖に入って怪我をしたの。
 あの湖の水は、毒だと聞いたから…」



 彼の腕には、深い切り傷があった。



“それなら心配いらない。
 王族には水の毒は効かないからな……。

 さて、その手を……”



 言って、ガルーダは首をググッと下げる。

 私は慌てて手を差し出した。



“……これで傷も塞がる。

 もともと王族にとって湖の水は、聖水と同じ。

 治りも早くなる”



 言いながら、瞳を閉じ、一粒の涙を流した。


 それは、私の両手一杯分の量で、薄紫の水だった。