* 竜の眠る国 *





 彼と私の会話を聞いていた竜は、私が本当に知らないのだと思い始めたのか、黙ってしまった。



“すまない……。

 妾の間違いのようじゃ”



「いいえ。 知らなくて……ごめんなさい」


“そなたは紫と金の娘。

 間違いないと思ったのだが……”



 うなだれる竜に、人違いとは言え、先ほどの恐怖など忘れ申し訳なくなってしまった。


 でも、人間違いなら……どうしてこの竜は私の名前を知ってたの?



「……あなたの思った人で無くて、ごめんなさい。

 それと……湖で助けてくれて、ありがとう!」


“いいや。
 あの湖は妾が護ってきた聖域。
 人はあの水を一口でも口にすれば、たちまちのたうち回り死に至るのだが……

 そなたは、生きている

 運が良いな……娘よ”