* 竜の眠る国 *





「あれは…」



 彼が気づく前に、私は手を高く伸ばした。

 すると、青い鳥が私の指に止まり、挨拶をするように私の肩に移動して頬にすり寄った。




「良かった!

 無事だったのね?」


「その鳥は君のか?」

「違うわ。
 森で迷っていた私を湖まで案内してくれた友達よ。

 あの化け物に襲われたのかと思ったわ!みんなも無事?」


 嬉しさのあまり頬を寄せる私に、質問に答えるように鳥は頭を上下に振った。



「……君はこの鳥と話せるのか?」


 彼は驚いたように目を見開く。

 私はそんな彼を見て、


「完全に分かる訳じゃないけど……何となく、分かるの」



 私の言葉を聞いた彼は、青い鳥と私を交互に見て黙った。

 そんな彼に構わず私は鳥と会話を始めた。