* 竜の眠る国 *







 疲れを取るため、膝下まで川に浸し冷やしていたら、後ろから草木をかき分けるような音がした。


 慌てて体を起こし、川の中まで進む。



「――誰?!」



 振り向くと、そこには何もなくて。

 膝まで浸かってる足は、冷たくて感覚が無くなってきた。


 それでも、私はジッとその場から動かなかった。



 すると、小枝が揺れ、ガサガサと周りの枝も大きな音を立て始めた。



 恐怖で身動きできずにいると、草木からひょっこり顔を出したのは、リスやウサギ、小鳥に鹿。



 その子達は、こちらを見て動かない。



 私と同じように、ビックリしたのかもしれない。