「あ――っ もう無理!
一歩も動けない!っていうか動きたくないっ」
叫んで、ヒールを脱ぎ捨てた。
が、ガサッという音に慌てて後ろを向く。
けど、何も見えなくて。
……追っては、ない。
でも、ここにずっとはいられないよね。
「……カイン…」
誰かにずっと呼ばれてる気がする。それは、きっと彼だ。
双子の私たちは、お互いに敏感過ぎるくらい繋がり合っている。
きっと私が居ないことに気づいて捜してるんだわ。……じゃないと、許さないわよ。
「で……ここはどこなの…?」
汗が流れ落ち、喉も渇いた。
なのに、見渡す限り木々しかなくて。
――なんでこんな目に遭わなきゃいけないの…?
涙が、今にも零れ落ちそう。
泣いてる場合じゃないのに……
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