* 竜の眠る国 *





 耳を塞ぎ辺りを見渡すと、視界が少し暗くなった。


 慌てて頭上を見ると―――



「な……」



 頭上にいたのは、羽を広げ優雅に飛ぶ蝶。


 ただ、言葉が出ないほど驚いたのは、その蝶々の大きさで。


 全長6メートル、羽を広げた長さは8メートル位だろうか。

 黄色と黒の美しい羽を広げ、ゆっくりと飛んでいる。


 ただ、あまりに大きい羽のせいか、バサバサと羽音が聞こえた。




「なに……これ…」



 ゆっくり頭上から遠ざかる蝶々(らしきもの)を見ていた。

 ……が、何故か蝶はゆっくり旋回し、こちらに近づいてきた。


 途端に、血の気が引く。



 蝶々の体に何かが乗っているけど……人間…?






 だんだん近くなるその大きさに、私は慌てて走り出した。