* 竜の眠る国 *







 窓際のチェストの上にある箱を取り、ベッドにゆっくり座った。


 そして、小さく深呼吸して胸の高鳴りを落ち着かせて、蓋に手をかける。



「……キレイ…」



 ビロードの箱の中に美しく輝くのは、白金の鍵。


 部屋の灯りをつけずに、月明かりしかない。

 その淡い明かりの中、濃い影と月の柔らかな光に包まれた鍵は、妖しく、美しい輝きを放っていた。


 その鍵をしばし見て、意を決したように先ほどの扉に急いだ。










 手が震える。



 鍵を持ち、ゆっくり鍵穴に差し込む。


 下から、私を捜すカインの声がした。




 ……心配してるのかな…?



カ、チャン…



 差し込んだ鍵を回すと、軽い音と共に、手に鍵が開いた瞬間の感触が響いた。




 カインの呼び声が大きくなる中、私は、扉を開いた―――