二階に上がると、吹き抜けの広い踊り場に出た。
下の騒ぎが嘘のような、静かな空間。
左右に別れる長い廊下があり、私の部屋に続く左の廊下を歩いていた。
コトン…
小さな。
普段なら気づかないような、サイコロが落ちたような小さな音。
でも、昼間の出来事が頭の片隅にあった私は、その小さな音に反応した。
それは、先ほどの部屋の前を通った時だった。
……ユウナ、駄目よ。
何かが遭ってからじゃ遅いわ。カインの言ってたことも気になるし……
でも……
ゴトッ
重い何かを床に落とした音。
これは、もう絶対に中に何かいる。
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