* 竜の眠る国 *








 二階に上がると、吹き抜けの広い踊り場に出た。



 下の騒ぎが嘘のような、静かな空間。

 左右に別れる長い廊下があり、私の部屋に続く左の廊下を歩いていた。




コトン…



 小さな。

 普段なら気づかないような、サイコロが落ちたような小さな音。

 でも、昼間の出来事が頭の片隅にあった私は、その小さな音に反応した。


 それは、先ほどの部屋の前を通った時だった。






 ……ユウナ、駄目よ。

 何かが遭ってからじゃ遅いわ。カインの言ってたことも気になるし……


 でも……




ゴトッ




 重い何かを床に落とした音。


 これは、もう絶対に中に何かいる。