『お前……確かユリアンとか言ったな。
ユウナを連れ帰ってくれ。このままだと風邪を引く』
今は心地いい温度だとしても、寝るには少し肌寒い。
ユリアンは仕方ない、と諦め返事の代わりにユウナを抱き上げた。
『落とすなよ』
「………」
エルクは森の番人。
普通なら人間の前に現れることも、声をかけることもない。
むしろ、その姿を一目なりと拝めたものなら、三代まで語り継がれるだろう。
それほど貴重な存在なのだけど……ユリアンの態度は煩わしいモノに対する態度で。
エルクは内心ムカつきながらも、ユウナのため我慢した。
『ユウナ……早く鍵を見つけて……』
ユリアンの後ろ姿と、その隙間から見える月の光を浴びた、金の揺らめく髪。
エルクの呟きは、
森の動物達しか聞こえなかった―――…
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