* 竜の眠る国 *








 少しだけ、この場から離れても良いかな……



 小さい城とはいえ、普通の家より桁違いな大きさのリビングから出たくなり、不審に思われないよう、私はいただいたプレゼントを何個か持つと、両開きの重厚な木の扉に向かった。




「ユウナ! どこに行くの?」



 女の子達に囲まれたカインが気づき、慌てて声をかけてくる。

 それを快く思わない周りにいた子は、あからさまに嫌な顔をする。




「いただいたプレゼントを部屋に置いてくるわ。窓も開けたままだと思うし……

 置いたらすぐ戻るから」



 私の言葉にカインは何か言おうとするけど、周りにいる女の子達がそれを邪魔する。

 それに便乗し、そっとリビングを出て広い階段を靴音を鳴らしながら上った。