* 竜の眠る国 *





 タキシードのカインは、双子の私から見ても王子様で。

 私とは全く違う雰囲気の彼に、少し遠く感じてしまう。




「ユウナ、綺麗だよ」


 優しく微笑んだ彼に、ホッとした。



「カインこそ。 本物の王子様みたいだわ」


 言いながら、カインの元へ行くと、手首を捕まれ抱き締められた。




「カイン…?」


「ユウナ……なんだか不安なんだ」



 抱き締める腕は力を増すばかりで……不思議に思い彼の顔をのぞき見た。

 でも、彼はふわり笑うと、


「お願いだから、今日は俺のそばから離れないで。

 ずっと傍にいるんだ。いいね?」


 言って、ギュッと抱き締めた。