* 竜の眠る国 *





『痛くない…?』


「ええ。全然痛くないわ」



 ―――嘘。

 確かに擦り傷だけど、所々擦れてる部分が深くて。彼に舐められた瞬間、痛みが走った。

 でも、さっきのエルクの巫女姫に対する姿を見てしまったら……これで痛がったらきっと、彼女に何をするか分からない。



『……ごめん。
 さっきは少しの間だけ離れるつもりだったんだ。

 すぐに追いかけるつもりだったのに…』


 見るからに落ち込んでるエルクに、え…?と聞き返す。
 すると、彼は私を見て口を開いた。



『彼に呼ばれて時間がかかったんだ』



 彼…?


『なのに―――…
 神殿に着いたらすぐ姿を消して…!

 ……契約がなければあんな奴…っ』

「ちょ、ちょっと待って。話が見えない」



 興奮気味に話す彼に、私の思考は追い付かない。