* 竜の眠る国 *






「……アメジストは魔除けの石よ。きっと、あなたを守ってくれるわ。

 大切になさい」



 鏡に映るママの表情は、堅い。

 笑顔が哀しげで……


 どうしたのか聞こうと、口を開いたと同時に、部屋の扉が開いた。



「母さん、みんな集まりだしたよ!

 父さんが早く来てって言ってる」



 入ってきたのは、タキシード姿のカイン。

 私と同じ金色の髪に碧眼の彼は、みんなから“王子様”と呼ばれてる。



 ママが慌てて私の部屋から出ていくと、訪れたのは静寂。



「ユウナ」


 周りに人が居ると、わざと声を少し高めに話すカイン。

 ……でも、私と二人の時は地の低い声で話す。


 その声のトーンに、私はカインを見た。