* 竜の眠る国 *






カッカッカッカッ

カカッ


「きゃああっ」





 高速で近づく蹄の音。そして、悲鳴が聞こえた。

 その予想外の騒音に硬直していると、いつまでも感じることのない痛みに、閉じた瞳をゆっくりと開く。


 すると、目の前にはナイフを持った姫。ではなく、森の番人エルクの後ろ姿があった。



 何で彼が……?



 予想だにしない彼の登場に、私は何度もまばたきをする。




「エルク……?」



 座り込む私から見えるのは、彼の足の隙間の向こう側に怯える姿の姫。

 ナイフを握っていた手は、恐怖のせいか胸元で両手を握り締めている。


 そして、体を震わせていた。