「私から逃げれると…?」
クスリと笑い右手を出す姫。
それを見た私は、力を入れたはずの足が鉛のように重くなるのを感じた。
「やだ……なによ、それ…」
「そなたがいけないのです」
「――何でっ」
私がいけないの…?!
彼女の右手には、色とりどりの宝飾が施された短剣が握られていた。
それが向かう先は、私。
カタカタと小さく震える私に、彼女は何ともないような笑みを見せた。
「あのまま湖で溺れ死ねば良かったのに。
本当に、残念だわ」
一番の笑顔でそう言った彼女。
私は訳が分からず、頭が働かない。
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