* 竜の眠る国 *





「……戻りましょう?
 みんな、あなたを心配してるわ」



 彼女の異様な姿に、声が震える。


 何とか元居た場所まで引き返そうと、姫の後ろの道をちらりと見た。

 それに気付いたのか、視界の端にいた彼女がフッと口角を上げ俯き肩を震わせた。



「……姫?」


「ふふっ」



 ―――なっ 何…?!




 クスクス笑う彼女に松明の火の揺らめきが合わさり、何故か背筋に冷たいモノが走った。



 ………これは、逃げた方がいい。



 姫の横をすり抜けるように、来た道を走り抜ける――――


 ………うん。シミュレーションはうまく出来た。



 身の危険を感じた私は小さく息を吸い、足に力を入れた。