* 竜の眠る国 *





「姫、なりません。これ以上進めば…」


「そなたたちはそこで待っていなさい」


「シェリナ様…!」


「さあユウナ。行くのです」


 兵士の制止を無視し、私を立ち上がらせると背中を強く押した。



「行きなさい」


 有無を言わさぬ声色に、私は恐る恐る一歩を踏み出す。




「シェリナ様!」


「そなたたちはついてこなくていい」



 兵士のあまりの狼狽えように不安になる。

 この先に何があるのか……


 さっきまでこの道に気付かなかった。

 というか、竜さんがいたから、大きな体に隠れていたらしい。


 ………もしかしたら、姿の見えない竜さんはこの先に……?