* 竜の眠る国 *





“……今さらソナタの素性については聞かずにいよう。

 だが……この娘に危害を加えることは許さん。

 何人も―――…”



 言って、翼を広げゆっくり体を低く這わせた。

 その響く声に、背筋が冷たくなる。




「……分かっている。

 ユウナ、聖竜から離れるなよ」


 言った後、分厚い石で出来た扉はゴゴゴ…と重い音を立て閉まった。





 なに……?


 何で? どうしてこんな事になるの?




「……あの人を助けなきゃ…っ」


 私の行く手を阻む翼の隙間から抜け出す。

 そして、疲れのピークなのか、節々に痛みが走る足を必死に前へ前へと進める。



 扉の外から、小さいけれど、剣が合わさる音がした。