* 竜の眠る国 *





「とにかく、この娘は神殿へ連れて行きます。

 森の方はどうぞお行き下さい」



 きっと、この兵は隊長クラスかもしれない。


 毅然としたまま、私の首の槍の刃を更に押し当て、半ばエルクを脅すように立ち去れという。



 でも、エルクは動かない。




「エルク……私は大丈夫だから行って」



 言葉を発した事によって、喉が上下する。

 その動きで、首の薄皮が切れた感触がした。




『ユウナ』


「私は、大丈夫」



 エルクが何かをしようとしたのが分かった。

 けど、私は目で訴える。



 この人たちに手を出してはダメ……。



 私の想いを知った彼は、鼻息荒く前脚を蹴り上げると、恐怖の声を上げる兵士の間を通り、駆け抜けていった―――…