『ユウナ。少し休む…?』
エルクが、涙の止まらない私を心配げに振り向き見た。
私は乱暴に涙を拭い、
「……ありがとう。
大丈夫よ。目にゴミが入っただけ」
言って、私が笑顔を見せると、彼は無言でグンッとスピードを速めた。
先ほどよりも速くなった足に、私はキツく彼にしがみつく。
それに合わせるように、更に早める速度。
―――風を感じ思うのは、彼との日々。
彼からの、優しい口づけ。
おでこにキスを落とす前の、柔らかい微笑み……
想い出すだけで、
心臓が張り裂けてしまいそうになる。
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