* 竜の眠る国 *





「それは偶然かもしれませんよ?

 まだ、断定するだけの決定打がありません。


 憶測に過ぎない」



「それなら…それなら娘を引き渡して下さいませ!

 湖に入るという重罪を犯したのですよ!
 このまま見過ごせません…っ」



 巫女姫の叫びにも似た言葉に、王様は額に手を当て溜息を吐く。



 その王様に気付いてないのか、無表情のまま


「ユウナは引き渡さない。
 彼女は異世界へ帰らせる。

 それでも罪人が必要なら、私を連れていけばいい」



 ―――その言葉に、王様は瞳を見開き怒り露わにダンッと肘掛けに拳を叩きつけた。



「シオン!

 そなた何を言ったか分かっているのか!?」


「そうまでして何故この娘を庇い立てるのです!」



 王様だけじゃなく、巫女姫も顔を真っ赤にしてる。