ああ…… 今、ものすごくカインに逢いたい。 話を聞いてほしい。 「この娘を即刻お引き渡し下さいませ。 この娘は重罪を犯しました。 今すぐ、私どもにお引き渡し下さいませ!」 彼女のあまりの剣幕に、王様も眉間にしわを寄せ小さく息を吐いた。 たとえ王様といえど、神官達の要望を無視することは出来ないんだわ。 ……どれだけ権力を持ってるの?神官って……。 考え込んでいた王様が、口を開きかけた時――― 「父上、失礼いたします」 シオンが、扉の中に入ってきた。 .