* 竜の眠る国 *







 シオンと巫女姫の婚約は神様からのお告げ……?



 では、そこにはシオンの意志はないの?









 二人のやり取りを少し遠くで感じながら、あの湖での二人を思い出した。





 ―――寄り添う二人。


 姫からの口付けを、かわすことなく受け入れたシオンは、婚約者の彼女自身を受け入れたのと一緒で……



 それなら……


 それなら私なんか、放っておいてくれたら良かったのに。




 婚約者がいるくせに。

 部屋を与えたり、私を引き渡すのを拒否したり、ベッドに入ってきたり……


 そんな事されたら……




「勘違いしちゃうじゃない…」